日本人の死因の第一位は1981年以来、癌が占めています。
どの部位の癌が死因の上位を占めるかを2018年の統計で見ますと、男性では①肺がん ②胃がん ③大腸がん 女性では①大腸がん ②肺がん ③膵がん ④胃がんと男女ともに4位以内に胃がん、大腸がんが入っています。また内視鏡検査が普及に伴い、胃がん・大腸がんが早期の状態で発見されることが多くなり、死亡率は減少してきていますが、罹患数では大腸がん、胃がんがそれぞれ1位、2位となっています。
胃がんや大腸がんは早期がんの段階で発見すれば、ほぼ100%助かる病気です。胃がん、大腸がんの診断(発見)のためには胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が不可欠です。
当院では主に経鼻内視鏡(スコープ)を用いて検査をおこなっています。
経鼻スコープの径は5~6㎜と細く、咽頭反射(スコープ挿入の刺激でオエッとなること)も起こりにくいため、鎮静剤を使用せずに検査を受けられる患者様も多くいらっしゃいます。
ですが、反射が強い方(これまで内視鏡検査を受けて辛い思いをされた方)や初めてで不安が強い方など、ご希望があれば鎮静剤を用いて検査を受けることができますのでご安心ください。
※経鼻検査が適さない場合(鼻腔が狭い、鼻炎が強いなど)や患者様が希望される場合には、検査を経口(口から経鼻スコープを挿入する)に切り替えておこないます。
大腸内視鏡検査は下剤により腸をできるだけ空っぼにして行う必要があります。下剤は検査説明の際にお渡しし、持ち帰っていただきます。
検査当日朝よりご自宅で下剤を飲み、排便が落ち着いたら来院していただき検査をおこないます。足腰が弱くトイレにすぐ行けないような方の場合は、当日朝から院内で下剤を飲んでいただき、午後から検査をおこなうこともあります。
ほぼ全ての患者様において、鎮静剤を用いて検査をおこなっています。
原則として予約をしていただいた上での検査となります。
・上部消化管内視鏡検査については電話予約可能です。
・大腸内視鏡検査については、電話での日程予約は可能です。下剤の持ち帰りなどが必要であるため検査の前々日までに受診が必要です。
血便(黒色便、赤色便)・下血、アニサキス症(寄生虫)疑いなど、緊急の検査が必要と判断した場合は当日に検査することもあります。
福岡市居住の50歳以上の方は胃がんを早期に発見するため、市胃がん検診で胃カメラを2年に1回受けることができます。(職場の健診で胃の検査を受けられている方は除く)
35歳または40歳を迎える年度に、胃がんリスク検査(血液検査)を受けることができます。(1回のみ)
40歳以上の福岡市居住の方は市大腸がん検診で便潜血検査を1年に1回受けることができます。
胃カメラでは食道や胃・十二指腸を内視鏡で観察しますので、癌あるいは癌が疑われる病変を認めたときは生検(組織検査)をします。一方、便潜血検査は2回検査をし、1回でも陽性反応が出たときは大腸内視鏡検査が必要です。その理由は便潜血陽性がきっかけで大腸がんや大腸ポリープは発見されることが少なからずあるからです。但し、便潜血陰性イコール大腸に病変がないことではありません。早期大腸がんでは便潜血陰性であることが半分くらいあります。従って、50歳以上の方では便潜血反応が陰性であっても3年に1回の大腸カメラが望ましいとされています。また、便秘または下痢、便が細いなど気になる症状がある場合、一度は大腸カメラを受けられることをお勧めします。
国民健康保険 (40~69才) | 国民健康保険 (70~74才) | 後期高齢者保険 (75才~) | 社会保険 | |
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胃がん検診 | 1,800円(50歳以上) | 0円 | 0円 | 1,800円 |
胃がんリスク検診 | 1,000円(35歳、40歳) | ー | ー | 1,000円(35歳、40歳) |
大腸がん検診 | 500円 | 0円 | 0円 | 500円 |
ピロリ菌(Helicobacter Pylori)が胃粘膜に感染して炎症を引き起こし、慢性胃炎となります。ピロリ菌感染が胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの発症に関与していることがわかっています。
内視鏡検査で慢性胃炎の所見があり、ピロリ菌に感染していることが確認された場合には除菌治療が保険適応となります。ピロリ菌除菌治療により胃がん発生予防や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制効果が認められています。
慢性胃炎では自覚症状はほとんどありません。またピロリ菌検査は検診などの特別な場合を除き、上部消化管内視鏡検査を受けないと保険適応とはなりません。内視鏡検査を受けたことがない方は、ぜひ一度上部消化管内視鏡検査を受けることをお勧めします。